|
|
|
コンタクトレンズ診療所 医師の名義貸し横行 勤務実績なく報酬 眼科医以外も診察 仲介業者がバイト斡旋 コンタクトレンズ(CL)販売店とともに設置される眼科診療所に、実際は勤務しない医師が管理者として名前を貸して報酬を得る「名義貸し」が横行していることが二十二日、産経新聞の調べで分かった。医療法は診療所管理者の名義貸しを禁じている。名義貸しをしている医師の中には、兼業が禁じられた公立病院の勤務医もいる。CL診療所をめぐっては、経験の浅い医師の診察で眼障害を起こしたケースもあり、医師と一部販売会社のモラルが問われそうだ。厚生労働省医政局は「事実なら調査したい」としている。 埼玉県越谷市内にあるCL診療所の管理者として保健所に届け出ているのは、千葉県内の眼科開業医。取材に対し「診療所に行くことはできないが、毎月数万円程度の報酬を受け取っている」と名義貸しを認め、代理の医師の勤務状況などは「確認していない」と話した。 神奈川県内のCL診療所の管理者になっている医師の専門は整形外科。実際は海外で約三年間勤務し、帰国後も同県内の公立病院の整形外科に勤務しており、CL診療所の管理や診療にはタッチせずに報酬を得ている。公立病院の医師は兼業禁止が原則だが、この医師は病院側に診療所の管理者になっていることを届け出ていなかった。 埼玉県内のCL診療所の管理者になっていた女性医師は、国家試験に合格したばかりで、米国に一時留学するなど、診療所にほとんど出勤していなかった。 東京都世田谷区内の診療所の管理者となっている眼科医も「診療所にずっといられるわけではないから、ほかの人(医師)にも来てもらっている」と話した。眼科医は、埼玉県内の病院に勤務していた。 この業界に名義貸しが横行する背景には、CL量販店の店舗拡大が進む一方で、販売に不可欠な眼科医が不足している現状がある。 常勤の医師を確保できない量販会社は、コンサルタント業者などに診療所の開設・管理を委託。業者が名義貸しの医師名で開設を申請し、実際にはアルバイトの医師を使うことで人件費を抑えているケースが多い。 ≪角膜を傷つけ訴訟も≫ 国民生活センターによると、CLの装着によって目の痛みや充血が起きたなどの内容の相談は、平成十四年度に計五十二件あった。CL診療所での診療をめぐり、アルバイト医師による診察で角膜に傷をつけられたとして損害賠償を求めたケースもある。 日本コンタクトレンズ協議会は今年五月、「CL量販店、眼鏡店に隣接する診療所では、眼科のトレーニングを受けていない医師が診療しているところがある。このような診療体制が、眼障害の発生と多少ならずかかわっている」とする報告書を出し、一部業者の診療体制の不備について警鐘を鳴らしている。 ◇ CL診療所 「医薬用品」であるCLを販売するには、医師の処方箋(せん)や指導が必要で、販売店の隣や店内などに医師の診療所が設置されるのが一般的。厚労省によると、診療所の管理者は医師に限られ、医師本人が診療業務全般を管理しなければならない。名義貸しなどの違反をした場合は20万円以下の罰金となる。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
産経Webに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。 著作権は産経新聞社に帰属します。 (産業経済新聞社・産經・サンケイ) 「著作権」「リンク」「個人情報の保護」について (c) Copyright 2003 The Sankei Shimbun. All rights reserved. |